2009年10月7日水曜日

V2のFuturesにViewStateが!?

Exploring the ASP.NET MVC 2 futures assemby

小野さんに振られたので↑こちらのエントリに書かれてるViewStateについての調べてみました。こういうきっかけが無いとソースを追いかけない自分に少し反省。

まさかホントにASP.NET MVCにViewStateを持ち込むのか?と、疑いたくなるようなエントリだけど何となくサンプルとして提示されてるコードが怪しい。そのまま転載させてもらうと↓こうですよ。

<% using (Html.BeginForm()) {%>
    <%Html.Serialize("person", Model); %>
    <fieldset>
        <legend>Edit person</legend>
        <p>
            <%=Html.DisplayFor(p => Model.FirstName)%>
        </p>
        <p>
            <%=Html.DisplayFor(p => Model.LastName)%>
        </p>
        <p>
            <label for="Email">Email:</label>
            <%= Html.TextBox("Email", Model.Email) %>
            <%= Html.ValidationMessage("Email", "*") %>
        </p>
        <p>
            <input type="submit" value="Save" />
        </p>
    </fieldset>
<% } %>

Html.Serialize(“person”,Model)ってなんか怪しいですよね。おまえ、ホントにViewStateを吐いてくれるのか?と。1つのViewに何個も書いたらどうなるんだよ、とか、ポストバックしたControllerでコントロールツリーを構築するのか、とかなんやかんやデス。

で、考えててもラチがあかないので、サンプル書いて試してみました。

  [Serializable]
  public class Drink
  {
    [Required]
    [StringLength(10)]
    public string Name { get; set; }

    [Compare("Name", ErrorMessage = "一致しないよ!")]
    public string CheckName { get; set; }

    [Range(10, 50)]
    public int Size { get; set; }
  }

まずは、前回も使ったDrinkクラスにSerializable属性を追加。これつけないとそもそもシリアライズ出来ないです。どこでシリアライズしてるのかFuturesのソースを追いかけると、MvcSerializerクラスで実装してます。ちなみにシリアライズの方式としてPlaintext、Encrypted、Signed、EncryptedAndSignedの4種類があり、初期値はPlaintext。これはSystem.Web.UI.ObjectStateFormatterを使ってシリアライズしてて。って、おや?マジViewStateなのか?まぁ、いいや。

なのでSerialize属性をつけるわけですが、上記クラスに値を入れてサンプル通りにView書いて実行しても何も出力されない...。

<% Html.Serialize("drink",Model); %>

サンプルだからなんかおかしいのかな~。気になるので更にソースを読み進めると、Html.SerializeはそもそもMvcHtmlStringクラスを返してきます。これは、あれですよね、ASP.NET 4で導入される<%: …%>出力に向けた実装ですよ。IHtmlStringってヤツですよ。でも、ASP.NET 3.5にはそんなもの無いので、Futuresの実装はインターフェースは無しバージョン。ってことは、単純に実行したらレンダリングされるわけじゃ無くて、ToString()かToHtmlString()で取得して、それをレンダリングするようにしないとちゃんと出力されないわけですね。

そうとわかれば、以下のように変更。

<% = Html.Serialize("drink",Model).ToHtmlString() %>

これでちゃんと出力されました。以下のようなModelを渡して結果を見てみます。

    public ActionResult Drinks()
    {
      var model = new Drink {Name = "Cola", CheckName = "Pepsi", Size = 30};
      return View(model);
    }

↑これが↓こうなります。

<input name="drink" type="hidden" value="/wEy7AEAAQAAAP////8BAAAAAAAAAAw
CAAAARk12Y0FwcGxpY2F0aW9uMSwgVmVyc2lvbj0xLjAuMC4wLCBDdWx0dXJlPW5ldXRyYWw
sIFB1YmxpY0tleVRva2VuPW51bGwFAQAAABxNdmNBcHBsaWNhdGlvbjEuTW9kZWxzLkRyaW5
rAwAAABU8TmFtZT5rX19CYWNraW5nRmllbGQaPENoZWNrTmFtZT5rX19CYWNraW5nRmllbGQ
VPFNpemU+a19fQmFja2luZ0ZpZWxkAQEACAIAAAAGAwAAAARDb2xhBgQAAAAFUGVwc2keAAA
ACw==" />

バリバリBase64エンコードされてViewStateっぽいです。でも、これを復元させるコードがどうなるかと言うと、↓こうなります。

    [HttpPost]
    public ActionResult Drinks([Deserialize]Drink drink)
    {
      if(ModelState.IsValid)
      {
        // ... success code
      }
      return View(drink);
    }

このDeserialize属性クラスが何をしてるか、ってことデスよね。またしてもソースを確認すると、そこには...。

        private sealed class DeserializingModelBinder : IModelBinder {

            private readonly SerializationMode _mode;

            public DeserializingModelBinder(SerializationMode mode) {
                _mode = mode;
            }

            public object BindModel(ControllerContext controllerContext, ModelBindingContext bindingContext) {
                if (bindingContext == null) {
                    throw new ArgumentNullException("bindingContext");
                }

                ValueProviderResult vpResult;
                bindingContext.ValueProvider.TryGetValue(bindingContext.ModelName, out vpResult);
                if (vpResult == null) {
                    // nothing found
                    return null;
                }

                MvcSerializer serializer = new MvcSerializer();
                string serializedValue = (string)vpResult.ConvertTo(typeof(string));
                return serializer.Deserialize(serializedValue, _mode);
            }

        }

単なるModelBinder...。Page.ViewStateなわけじゃないですね。単にシリアライズするためにViewStateと同じものを利用してるだけです。最初の方にも書いたけど、ViewStateと同じようにシリアライズ出来るようにするためにEncryptedやSignedが指定出来るようになってるって事です。ちなみにソースを見てみると、暗号化ViewStateを生成するためにprivate sealed class TokenPersister : PageStatePersisterっていうクラスを定義してて、その中でPageクラスのインスタンスを生成し処理させてます。なんか強引。でも、AntiForgeryDataSerializerでも同じ事してたりしてちょいビックリ。

そんなことはいいとして、これが完全に独自のModelBinderになってしまってるので、これを使う場合にはDataAnnotationsが効かない。ので、hidden書き換えを抑制したいときにはEncryptedやSigned、EncryptedAndSignedを指定しておくようにしないとね!

なぜASP.NET MVCにViewStateを持ち込むんだ~、と怒り心頭な方!ご心配なく。WebFormsでいうところのViewStateでは無かったです。ホッとした。

Futuresのソースみてて気がついたんだけど、AsyncControllerがFuturesに戻されてる。Expression系のユーティリティクラスがたんまり入ってて何やら面白そうな予感がしますが、それはまた今度ってことで。

dotnetConf2015 Japan

https://github.com/takepara/MvcVpl ↑こちらにいろいろ置いときました。 参加してくださった方々の温かい対応に感謝感謝です。